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幻竜の羅刹

幻竜の羅刹

命の力~妖怪との出会い~ファイナル

あれから数十年の時を経た

「あ~、天国ってのはつまらんな。つまらない場所ナンバー1と言っても過言ではないだろうな」

日曜日の昼上がりに銀の瞳を持つ女は住宅街を歩いていた

「大結界はまだちゃんと効力を発揮しているな。自分で言うのもなんだがすばらしいできだな」と豪快に笑っている

「実に懐かしい気がする。たった20年程度しか経っておらんのになぁ」と風に靡く髪にそっと触れた

遠くからただ一人で散歩をしている男が見えた

「おっと、もう発見か、再開ってのは速いもんだな」と笑っている しかし笑い声は辺りにいる人間に聞こえることは無かった

その男に向かって女は歩く。だんだん姿がはっきりしてきたのを見てぜんぜん変わっていないなと呟き、笑った

やがて、親はこちらの存在に気づく、最初はチラッと見ただけだったがすぐさまもう一度確認するかのように女を見た

そうして二人は出会った

「ぎ…銀狼かい?」 「おう、久しぶりだな」と手を上げ笑って答える銀狼を雄大は久しぶりに見て、頬が緩んだ

「ちゃんと愛を守ってやってるか?」 「もちろんさ。子供だっているんだから」と照れたように言う

「おお、そうかそうか。そりゃよかったなぁ」と笑っている

「名前はなんと言うんだ?」 「白狼(びゃくろう)っていうんだ。狼っていうのはまぁ銀狼からもらったんだけどね」と笑っていた
「白狼か、かっこいい名前だな」と笑っていた

「かなり時間をかけて考えたんだよ」と頭を掻いている

「もう必要ないかもしれないけど…私をまた守り神にしてみないか?いつ結界が破られるかわからんからな」と手を差し伸べた

「こんな僕をまた守ってくれるのか?嬉しい限りだね」と雄大も手を差し出し、手を繋いだ

「じゃ、家に帰ろう」 「うむ、帰ろう」と二人は肩を並べて帰った

(結局天国にも白狼(びゃくろう)はいなかったな…一体どこにいったんだろうなぁ…)と呟いた

(だれだそれ?) (お前は知らなくていいんだよ) (ちぇ、気になるなぁ~)とぼやきながらも深く聞かなかった

なぜなら雄大にはわかっていたからだった

あの短歌を作ってもらったときの相手は白狼だったんだという事を…

そんなことを思っているうちに家の前までついた

ドアをひねり「ただいま」と声をかけると明るい「ただいま」と言う声が奥から返ってきた

「やはり、雄大と愛はお似合いだな」と誰にも聞こえぬような声でぼそっと呟いた

こんな世の中に幽霊も妖怪もいないなんて言いきれない

もしかしたらあなたの隣には妖怪や幽霊がいるのかもしれない…

守り神がもしかしたらいるかもしれません 銀色の毛を持つ狼があなたを守っているのなら、心配することはないでしょう…



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